お問い合せサイトマップ個人情報保護方針 決算公告サイト
特定非営利活動法人決算公告推進協議会 決算公告推進協議会
コラム
HOME > コラム一覧 > 何故?多くの中小企業は決算公告義務を知らないのか?
 
コラム
 
何故?多くの中小企業は決算公告義務を知らないのか?
決算公告制度は、“昔から”その規模や株式の公開・非公開の区分、機関設計の如何に関わらず、全ての株式会社に義務付けられているものだ。現在の商法では283条に、新会社法では440条に規定されている。
しかし、圧倒的多数の公告義務の不履行、すなわち、法律違反行為が歴然とした事実として認められるところであり、これに対する行政当局の長年の無策及び放置という事実がある。

この事実を、どれだけの中小企業が知っているだろうか?言い換えれば、それだけの中小企業が、知っていて敢えて法律に背いているのだろうか?
結論から言えば、世の中の数パーセントが、この法の定める「計算書類の公告」を行っているに過ぎず、しかも、その法律違反に対する罰則の過料規定は運用されたことがないのであるから、大半の中小企業が知らなかったとしても当然と言わざるを得ない。
勿論、昨年の西武グループのプリンスホテルが、創業以来、決算を公告してこなかったことが報じられた(日経新聞)ことは記憶に新しい。

決算公告の方法には、以下の四つの方法がある。
1. 日刊新聞による公告
2. 官報による公告
3. 電子公告による公告
4. インターネットによる開示

この義務規定には、商法498条・会社法976条で不正の公告、公告懈怠、計算書類への不実記載等に対しての100万円以下の過料規定があり、又、商法266の3条2・会社法429条2では、不実記載・重要なる虚偽決算及び公告に起因する、取締役等の取引先債権者等の第三者に対する損害賠償責任規定がある。
特に、この損害賠償責任規定は、決算公告がほとんど履行されていない今日までの状況下では適用されるケースが非常に少なかったものの、一般に知られている任務懈怠責任とは全く異なり、自らが自己の無過失を立証しない限り責任を免れないという、大変に厳しいものとなっている。
ところが、過去の商法改正論議の中で、この決算公告義務規定の強化改正において、或いは、会社法制の現代化に関する要綱案に対するパブリックコメントの募集において、以下のような問題が指摘されてきた。

1.決算公告は中小企業にとって、デメリットはあっても、何のメリットもない
要は、決算内容が良ければ値引きを迫られたり、悪ければ取引が疎遠になったり、いずれにしても、懸念されることの方が多い・・・という意見である。

2.中小企業に適正且つ適法な会計処理を行う人材やノウハウがない
これまで、専ら税法に依拠した会計を行い、税理士事務所に依存する傾向の強い環境では、大会社により近づける適正且つ適法な企業会計の導入実践に必要なノウハウの習得には困難とそれなりの時間を必要とする・・・という懸念である。

3.中小企業が適用できる統一的会計基準がない
恣意性が介入し難い、決算公告に耐える全国共通の会計基準が必要であることに議論はない。しかし、上場大会社が適用するような会計基準を、経営資源に乏しい中小企業に一律に適用させることは現実的ではない。ではどうすれば良いのか・・・・という課題である。

これらに対して、会社法は、先ず1.について異論を排除して強行突破しました。そして、会計・計算に関する規定振りを変え、“会社法に基づく会計責任と義務”を明確にした。
2.については「中小企業の会計処理と説明責任能力の不足を補完する」ための機関として“会計参与”を制定し、3.については、昨年の8月に「中小企業の会計に関する指針」が統合され、新たに周知されるところとなった。こうした将来の決算書に期待される品質は、これまでの法人税一辺倒又は優先の通常の簿記会計による、基準の曖昧なものではなく、会社法を基礎とし統一的会計基準に基いたものとなるから、各企業は準備を怠りなくすべきである。

会計というものの重要性や意義の変化に気付くのが遅く、準備の立ち上げが遅ければ、急に対応できないのが、この課題であるということを理解して欲しい。
今、中小企業庁では、独立行政法人中小企業基盤整備機構に委託して、「中小企業の会計に関する指針」の啓発普及に大変に熱心である。現在認知度20%であるものを、これから3年かけて50%に上げると、公然と目標を掲げている。
では、もっと問題の大きいと考えざるを得ない、中小企業における決算公告義務の認知度の低さ・実施率の低さに対して、同様に啓発普及の政策はあるのか? といえば、「それはない」と考えた方が良いようである。
それは、私自身があるセミナーで講師を務められた中小企業庁の担当者に質問したときのことである。
決算公告義務に関しては、法律に明確に規定されていることであって、普及という政策にはなじまないということのようだ。
中小企業経営者自らが、知識を得て、自発的に対応しなければならない思い課題である。

 
理事・吉川孝
(NPO法人地域経営改善研究会理事長、税理士、中小企業診断士)

  コラムトップページ 次のコラム
▲このページのトップに戻る
このサイトの著作権は決算公告推進協議会に帰属します。コンテンツを無断で使用・転載することを固くお断りします。