お問い合せサイトマップ個人情報保護方針 決算公告サイト
特定非営利活動法人決算公告推進協議会 決算公告推進協議会
コラム
HOME > コラム一覧 > 決算公告は会社法制の本丸!透明会計・健全経営をバネに!
 
コラム
 
決算公告は会社法制の本丸! 透明会計・健全経営のバネに!

株主総会と取締役ひとりでも株式会社として成り立つ、取締役会も監査役も要らないというような極めて柔軟な機関設計や、資本金規制の撤廃など、新会社法の底流には定款自治・規制緩和の方針が明確にある。
新会社法が、そのように全体を通して、企業に様々な任意性や選択性を与え、主体的かつ積極的な活用を期待していることに、着目しなければならない。
そうした背景においても、日本の商法の基本理念である「債権者保護」「取引の安全・円滑化」を確かなものとして維持するためには、「公示主義」と「取締役の責任」は一層重要な会社法制の軸とならなければならない。
そのことは、別に商法学者のように理論的な理解を求めるものではない。
実際に、日々の取引において与信リスクが増大し、信用取引が萎縮し、経済の活性化を妨げている大きな要因になっていることは、理屈ではなく、実感であろう。

一方では、破産法や再生法が整備され、再生に対する仕組みや制度が広く一般に受け入れられる時代になっている。
他方、会社の犯す不法又は不正行為は勿論、閉鎖的で利潤優先の利己的な行為、反社会的行為、従来の日本の慣習や文化を逆なでする行為などが、様々に報じられ、議論される中で、会社というものに対する信頼が揺らいでいるということもできる。
ところが、日本の大部分を占める非公開中小企業において、その重要性が増大するであろう法理念である「公示主義」と「取締役の責任」の形骸化の事実は自明であり、議論を待たない。
会社が法人格を得て、自由に商取引ができる根拠は、商法・会社法であることも、当然のことである。その会社が存在する根拠法の定めを守らずに、会社であり続けるということはあり得ない。義務を履行せず、権利だけを主張するのはいけないことだと、小学生でも知っている。その"形骸化"の象徴とも言うべきが、商法283条・新会社法440条で規定する決算書の公告義務の不履行であり、しかも、その圧倒的法律違反行為に対する行政当局の長年の無策及び放置という事実であると考える。

この事実を、どれだけの中小企業が知っているだろうか?言い換えれば、それだけの中小企業が、知っていて敢えて法律に背いているのだろうか?結論から言えば、世の中の数パーセントが、この法の定める「計算書類の公告」を行っているに過ぎず、しかも、その法律違反に対する罰則の過料規定は運用されたことがないのであるから、大半の中小企業が知らなかったとしても当然と言わざるを得ない。
勿論、昨年の西武グループのプリンスホテルが、創業以来、決算を公告してこなかったことが報じられた(日経新聞)ことは記憶に新しい。
しかし、そうであっても、中小企業における「決算書(貸借対照表)の公告義務の履行」と「取締役責任の自覚と履行」なくして会社制度の根本と、商取引の安全は維持できないといわなければならない。

最近よく耳にするようになった「コンプライアンス(法令遵守)」という言葉も、法の下の公平公正の維持のためであり、情報開示による透明性の保持を重要な手段として用いる。会社の一部所有者グループによる閉鎖的な経営を、普通に行ってきたすべての株式非公開の同族経営の株式会社では、債権者の求めに応じた決算の開示は勿論、不特定多数の目に触れるところに決算書を置くことなどは、たとえ法に定めがあったとしても、これまでの一般の"常識に外れる"制度以外の何者でもない。
言い換えれば、中小企業におけるコンプライアンスの実現は、決算書の公告義務の履行から始まる意識改革なのである。小泉郵政改革ではないが、決算公告は、まさに「法令遵守の本丸」である。

決算公告の重要性や有用性は、自分が他社の決算情報を入手し活用する側の立場で考えたときに理解できる筈である。金融機関における適正的確な信用格付けによる保証や担保に依存しない中小企業融資の実現や、M&A・事業再生・新規事業の支援・経営革新の推進のいずれも、適法且つ適正な決算の開示による適正な企業力の評価を前提として成立するものである。
更には、建設業の入札資格制度に係る経営事項審査ポイント、一般与信審査及び管理上の位置づけや一般市場や労働市場においても、適法決算の公告・適正性が担保された決算の要請が広がってゆくことが予測される。

今後、決算公告が経済社会で一般化していく過程において、経営者個人、法人格の種類、資本金の額や事業規模などの外形、或いは、使用調査会社等の情報に依存していた『会社』の信用が、決算公告情報に移行してゆくと考えられる。
そんな近い将来の常識に備えるべく、決算公告に関しては、多くの中小企業経営者の方々に、消極的な適応を超えて、会社経営の意識改革として、透明会計・健全経営へシフトするエネルギーに転換して欲しい。

 
理事・吉川孝
(NPO法人地域経営改善研究会理事長、税理士、中小企業診断士)

前のコラム コラムトップページ 次のコラム
▲このページのトップに戻る
このサイトの著作権は決算公告推進協議会に帰属します。コンテンツを無断で使用・転載することを固くお断りします。